
偶然が重なり運んできた、湘南との出合い
茅ヶ崎から世界へ、「地球への恩返し」という想いを込めたメッセージを発信し続ける人がいます。アーシング・ヨガ講師を中心に活動する、坂井田恵利さんです。
「人生で大切にしていることは、深く考え過ぎずに直感に従うこと。その時の流れに任せた方が、怖いもの知らずで強くいられるんじゃないかなって思うんです」。そう話す坂井田さんは、これまでしなやかに力強く、人生のタイミングに合わせた自分らしい選択をしてきました。
元々は愛知出身で美容関係の仕事をしていましたが、仕事を辞める決心をした時にいつかは住んでみたいと思っていた海外への移住を決断します。そして選んだのが、ハワイへのヨガ留学という選択でした。
「それまでヨガなんてやっていなかったのに、おかしいですよね。呼吸を整えて心を落ち着かせたり静かにすることに対して苦手意識があるほどでした。でも、苦手だからこそ、好きになれたら良いなって」。そして現地でのヨガのプログラムに参加しているうちに、ハワイの海や自然の美しさに心奪われ、ここで『アーシング』に触れたことが人生の転機になります。
アーシングとは、素足や素手で大地や海などの自然に触れ、地球とつながること。「こうして振り返ってみると、ハワイでの経験の全てが今の活動につながっていると感じますね」。アーシングだけではなく、エシカルの大切さも、ハワイから教えてもらいました。
その後、心の声に耳を傾けてオーストラリアに移住し、スタンドアップパドルボードの上で海に浮かびながらヨガを行うサップヨガを教えながら暮らします。そして2020年に、コロナの影響で帰国することになり、せっかくならハワイやオーストラリアのように海のある街が良いなと湘南を選びました。
「茅ヶ崎の友人が別の街に引っ越すので、家が空くよと教えてくれて。茅ヶ崎の駅に降りたのも初めてで、不思議な感じでした」。それが、決断が早くフットワークが軽い坂井田さんらしい、湘南との出合いです。
自分の心に嘘を付かずに、信じた未来を実現していく。
ほとんど知り合いもいない中で始まった湘南での暮らしでしたが、ここから坂井田さんの人生が加速していきます。ハワイで学んだヨガやアーシングを、湘南へ舞台を移して伝えていきました。
「最初は他にアルバイトをしながら、ビーチで数人の友人にヨガを教えることから始めたんです。半年続けることで少しずつ生徒さんが付いてくれるようになり、独立を決めましたね」。そうして少しずつ、湘南の海を起点に、街とのつながりを増やしていきました。
街での活動の中で、坂井田さんにとって大きかったことが、『アーシングマーケット』を主催したことです。ビーチクリーンから始まり、ヨガやワークショップを通して「地球への恩返し」を表現したこのイベントは、約1000人が集まるイベントとなりました。実際にイベントを企画してみると、自然への関心が高い湘南では関わりたいと手を挙げてくれる仲間がたくさんいることに気が付きます。
「人は流行り物が好きなので、始めるだけではなく、継続することこそが大切だと思っています。一時的に環境への意識を高めるだけではなくて、街に根ざしたものにしていきたいです」。このマーケットをきっかけに、街との関係性も大きく深まり、ラジオのパーソナリティの仕事につながるなど、活動の幅を広げていくことになります。
その勢いのままに、2022年には「ミセス・グローバル・アース」に出場します。「神奈川県大会から始まったのですが、最初は自信が無かったので誰にも内緒で(笑)。優勝することができてから、応援してくれる人がもっと増えたように感じます」。
「美」のみならず、地球環境問題に取り組むオピニオンリーダーを輩出するこの大会で、世界大会に出場して代え難い経験を積んだ坂井田さん。
「直感を信じて自分の心に嘘をつかないこと。自分の基準で選ぶ人生でありたいと、いつも思っています」。まさにその言葉の通りに、次々に描いた未来を手繰り寄せて歩んできました。
急いで生きていない人が、たくさんいる海街で。
そんな坂井田さんにとって、この街の好きなところ、暮らしで大切にしていることを聞いてみました。
「湘南の好きなところは、急いで生きていない人がたくさんいるところです。朝起きて海に行くとみんな散歩をしたりしていて、自分の生き方と街がリンクしていることを感じます」。
坂井田さんの暮らしは、平日の朝6時から毎日開催しているzoomでの20分の瞑想から始まります。サロンメンバーと一緒に自分のための時間を毎朝つくることで、朝のリズムが整って思考がシャープになると言います。そのまま午前中に仕事を終わらせて、午後は出来るだけゆっくりと時間を過ごしています。
「決して難しいことはしていなくて、シンプルな暮らし方だと思います。一日の終わりには海に向かってまっすぐ歩いて、サンセットを見て帰って早く寝る。それが私のスタイルです」。
暮らしと街のリズムが心地よいからこそ、もっとこの街に根ざしていきたいと考えているようです。
「自然もあるし、友達もいて仕事もある。今の自分にこれ以上の場所は望めないし、何かのきっかけで海外に行くことはあっても、今は他の街に行くことは想像できないですね」。
次の目標は、茅ヶ崎で固まってきたものを東京へと広げていくことだそうです。「湘南の良いエネルギーを持って、都会の喧騒の中で暮らす東京の人にもヨガを広めたり、エシカルな暮らしを伝えていきたいです」。そう話す坂井田さんの目は、真っ直ぐに次の優しい未来を見つめていました。
日々を生きていると、壁にぶつかったり、辛いこともあるかもしれません。けれども、環境に左右されても、雨や風が強くても、それが今日というかけがえのない日。ヨガやアーシングからの教えを胸に、今日の一日を大切にしながら、湘南から世界へとメッセージを発信し続けていきます。
PROFILE
ヨガ講師/ライフコーチ
株式会社E.M.C代表取締役
RYT200養成スクール主宰
2017年よりハワイ、オーストラリアにて単身移住し、ヨガの学びと経験を積む。2020年より湘南へ移住。海をこよなく愛し、’’地球への恩返し’’を合言葉に、エシカルマーケット主宰や農業コミュニティなど立ち上げ、エシカルライフを提唱するインフルエンサーとしてマルチに活動。
自主開催のイベントでは、来場者数1万人を超えるマーケットプロデュースや、約50回以上のウェルネスイベントを全国にて自主開催。好きな場所で自由なライフスタイルを実現するライフコーチとして、女性のキャリア育成やセミナー講演などを定期的に開講する。
Mrs Global Earth 2022 日本大会グランプリ、Mrs Global Earth 2023 世界大会2位受賞。