
1.自然と地域が共生する街、湘南。
近年、街の幸福度ランキングや住み続けたい街ランキングで上位の湘南地区。その理由の一つは、湘南の自然と地域の生活とのバランスが取れていて共生関係が出来上がっていることだと考えています。
それではなぜ、湘南エリアでは自然と暮らしの共生関係が生まれやすいのでしょうか?
今回は、テラスモール湘南の中で芽吹き始めたある2つのSDGsの取り組みにフォーカスを当て、その理由を探っていきたいと思います。

2.湘南の海を想う人たちの、海の尊さや豊かさを伝える活動。
アパレルや雑貨のセレクトショップであるBEAMSは、湘南の海への想いを形にする活動を定期的に始めています。BEAMSの創業は1976年に遡る、まさに日本のセレクトショップの先駆者的存在です。テラスモール湘南でも、街の暮らしに花を添えるようなアイテムたちが、多くの方に愛されています。
都内から通われているというビームス辻堂のショップマネージャーである草野さんは、「辻堂駅に降りた瞬間に、空の広さにスローになれるところが好きで。でも最も魅力に思うのはこの街の『人』そのもので、穏やかで話していて心地の良い方が多いんですよ」と、この街への愛着を強く持たれています。

街の方と一緒に、この街のために出来ることはないかなと考えた時に、街のゴミ拾いを行う団体である『グリーンバード辻堂チーム』の活動に縁あって参加されたそうです。「街の方とコミュニケーションを取りながらのゴミ拾いが想像以上に楽しくて、朝から気分が良くて。これを続けたいと思いました」。そして回を重ねるうちに、今では有志で参加する店舗スタッフも増え、地域の参加住民の皆様との繋がりを楽しんでいます。
「地域の方が常に目を向けている海という自然に対して、ビーチクリーンという形で私たちBEAMSスタッフ が関わることで、地域共創がより深くなるかなと感じるんです」。そんな想いを込めてグリーンバードの皆さんと一緒に企画し準備を重ねたイベント当日は、あいにくの天気とはなりましたが、参加者の方の熱気で大きな盛り上がりを見せた1日となりました。

海を綺麗にして、その綺麗な海から魚を獲り、湘南の海の尊さや豊かさを肌で感じることができるプログラム。SDGs17の目標のうち、『海の豊かさを守ろう』にフォーカスした活動です。
イベント当日はまず、湘南の海のビーチクリーンから始まりました。砂浜に落ちているゴミや人の手を介さないと除去できないマイクロプラスチックを、力を合わせて一心に拾い集めていきます。

瞬く間にたくさんのプラスチックが集まり、参加者の皆さんからは驚きの声が上がりました。「一見すると綺麗な砂浜でも、これだけのプラスチックが隠れていることが発見でした」と、感想をシェアする皆さん。


ビーチクリーンで綺麗にした海で、今度は地引網が始まりました。漁師の方の指導の下、沖に仕掛けられた網を参加者全員で引っ張っていきます。
網を引き上げると、湘南の海を泳いでいた新鮮な魚が打ち上げられます。アジやアオリイカ、シラスなど、大小さまざまな魚がこの海には生きていることを、改めて再認識することになりました。




地引網が終わると、お昼休憩を兼ねたバーベキューで参加者同士の親睦も深めました。そしてその後には、BEAMSらしいファッションにまつわるワークショップも開催。愛着のある古着を持ち寄って、バッグとして新しく命を吹き込むという内容です。
針で縫ったりすることなく、ハサミで切って端を結んでいくだけでバッグをつくることができるワークショップに、皆さん夢中になって取り組んでいました。



使い古した古着を再利用できて、何より手軽で簡単。愛着を持って着ていた服からできたバッグだから、長く使ってもらえるはず。そんな想いが込められたワークショップで出来上がったバッグはきっと、湘南の日常の暮らしで大切にされていくのではないでしょうか。
そしてこの日の最後には、地引網で獲れた魚たちが参加者の皆さんにプレゼントされました。魚と1日の想い出をご自宅に持ち帰り、湘南の海への想いをさらに深める時間となったようです。「身近な海への恩返しが出来たのなら嬉しい」と、参加された方も満足そうに話していました。


「今回の参加者の方は湘南で暮らす方を中心に、お集まりいただきました。それはイベントに参加された方同志のコミュニケーションの場にもしたいと考えていたからです」と、草野さんは話します。
その結果として、荒天にも関わらず、参加を予定されていた7割の方が実際に集まり、この日生まれた繋がりを笑顔で楽しんでいる様子が見られました。「やはり湘南で暮らす方は海への想いが強くて、その想いを共にする方同士での繋がりも大切にされているんだなと感じました。世代を超えて連絡先を交換する姿も見られて、嬉しかったですね」。

最後に、この街の未来に向けた想いも、草野さんに伺いました。「この街の盛り上がりをつくったといっても過言ではないテラスモール湘南も巻き込み、グリーンバードが大切にしてきたゴミ拾いの活動を続けることで、サステナブルな地域共創の形をつくることができたら素晴らしいなと思います。でも、決して無理はしない。持続可能な活動の肝は無理をしないことだと思うので、自分たちでできる範囲で楽しく続けていきます」。
自然体で肩肘張らずに、湘南の海への強い想いを持つビームス辻堂とビーミングライフストアbyビームステラスモール湘南店のスタッフの皆さん。彼らの想いは少しずつ、でも着実に、この街で暮らす仲間へと広がっています。
3.地域の子どもに向けられた、あたたかな眼差し。
もう一つ、スーパーマーケットのサミットの取り組みについてもご紹介いたします。1963年の設立以来、60年以上にわたって暮らしを支え続けてきた、街に欠かすことのできない存在です。テラスモール湘南でも1日に1万人以上の来客があり、湘南の暮らしに根差したスーパーです。
サミットではSDGs17の目標のうち、『海や陸の豊かさを守る』と『質の高い教育をみんなに』についての取り組みを行ってきました。近隣の小学校の子どもたちに向けた、自然環境への学びも得られる「ストア見学ツアー」は、その最たるものです。

「普段食べている食材の安心安全が守られていて、環境に配慮されている身近な存在としてのスーパーの、その裏側までも子どもたちに伝えたいんです」との想いで、3年前から始まった地域の小学校との連携。
この日集まった小学生160人ほどの前で、まずはスーパーの裏側や環境への想いを知ることができる簡単な授業が行われました。ここではサミットの自然環境への取り組みである、『食品ロスの削減と食品廃棄物のリサイクル推進』や、『プラスチック使用量の削減とリサイクル推進』も紹介されました。

具体的には、低温・高湿度の保鮮庫で野菜の鮮度を維持してロスを減らす工夫だったり、お肉などの商品でノントレイ包装を実施することでプラスチックゴミを減らす試みがありました。クイズも織り交ぜながら、身近な存在であるスーパーを題材とした学びを、みんな興味津々で聞いています。
そして授業が終わった後は、いよいよスーパーの裏側を覗く見学ツアーに出発です。教えてもらったばかりの保鮮庫に実際に入ってみたり、食材を調理しているキッチンの中を見学したり、普段はできない貴重な体験に溢れていました。

キッチンでは食べきれずに捨ててしまう食材を出さないために、食材をニーズに合わせて様々なサイズにカットする様子もみられました。売り場では地元の野菜のコーナーも用意され、「輸送に伴うCO2の削減をしながら地元の農家さんを応援できる」と、その意図が説明されました。
冷凍庫に入った時には子どもたちの興奮もMAX。終始キラキラとした目で参加した、大興奮のツアーとなりました。
全てのスタッフさんが子どもたちを笑顔で迎え入れていて、サミット全体として地域の子どもたちの学びを応援している姿が印象的でした。

「ものを売っているのではなくて、体験を売っているんです」。そんな言葉が印象に残りました。地域と共に生きるスーパーとして、街で暮らす人たちとの長期的な関係づくりができたらとの願いが、この体験ツアーの根底にはあります。
「このストア見学ツアーに参加されたお子さんが親子で買い物に来てくれて、得意げに学んだことを説明してあげている風景を見ると嬉しく思います」と、スタッフの方が話してくれました。

暮らしに身近で興味がある場所を舞台に、その裏側を知ることができる体験は、きっと子どもたちの更なる知的好奇心の広がりや、もっと学びたいという気持ちに繋がっていくはず。
サミットの取り組みは、単なるスーパーという枠を超えて、街の子どもたちの成長を応援したいという温かな想いで溢れていました。
4.湘南の魅力とは、街に関わる人が街を大切にしていることである
街に関わる人が、街の自然や人を想い、その想いを集めた活動が広がっている。そんな風景が当たり前のように見られることが、湘南らしさの一つなのではないでしょうか。
今回は2つの事例紹介でしたが、テラスモール湘南の中に存在する多くのテナントでSDGsへの取り組みが始まっています。たくさんのテナントが集まる商業施設だからこそ、この場所から起こる自然環境へのムーブメントの力は大きいはず。
これからもテラスモール湘南では、この街の自然や、この街で暮らす人たちに寄り添った取り組みを続けていきます。ぜひ一緒に、想いを重ねていただけると嬉しいです。








