自然と人の共創と創造
テラスモール湘南は、湘南という文化と
そこに暮らす人々との調和を考え、
家の延長でありながら外の自然も感じられる
人と人が自然に声を掛け合う「テラス」
のような場所です。
「テラスアート湘南」アワードは、
テラスモール湘南を舞台に
自然と共生する新しい価値・文化を発信する、
次世代を担うアーティストの発掘を
目的としています。
応募テーマ
応募要項
※応募エントリーは終了しています。
審査員 | 戸塚愛美、宮本武典、山本菜々子*50音順表記 |
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賞金 | グランプリ:賞金50万/1作品 準グランプリ:賞金25万/1作品
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応募条件 | 国内在住。個人またはグループ。1個人または1グループ、1作品までとします。 ・出品料 : 無料 |
作品規定 | 未発表・既発表は不問。ジャンルも問いません。 応募者が作品の著作権を有し、共同制作者がいる場合は許諾を得ていることが条件。 <平面作品サイズ> <立体/インスタレーション作品サイズ> |
募集期間 | 2022年4月29日(金)~6月13日(月) |
受賞者発表 | 2022年7月下旬 グランプリ/準グランプリ作品発表 |
受賞作品展示期間 | 2022年10月1日(土)~12月25日(日)*テラスアート2022 Vo.3にあわせて |
受賞作品展示
2022年10月1日(土)~12月25日(日)
場所:1F東モール
Artist Name :
渡部 未乃
Title :
波を見る#3
作品コンセプト
湘南の海をモチーフにドローイングを重ね、形を削ぎ落とし、直線的に描くことで、⾃然と⼈⼯、有機と無機、具象と抽象といった対照的な位置関係にあるものの中間に存在しているような絵画を描きました。
作家プロフィール
渡部 未乃
Mino Watabe
画家。東京都出身。
多摩美術大学大学院美術研究科博士前期課程絵画専攻油画研究領域 2016年修了。
<個展> | ||
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2022年 | 「Straight in nature」(日本橋三越) | |
「Watch the Sea」(石川画廊) | ||
2021年 | 「WAVE」(湘南 T-SITE / LIFE sea) | |
「Fluctuation」(KATSUYA SUSUKI GALLERY) | ||
2019年 | 「FORM」(Gallery MoMo projects) | |
2016年 | 「Horizon」(ギャルリー東京ユマニテ) |
<グループ展> | ||
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2022年 | 「Shibuya Fashion Week 2022 Spring 」 (渋谷スクランブルスクエア) |
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TIN THE LOOP] (THE LOOP GALLERY) | ||
2021年 | 「SEASONNAL ART Phase #8」 (ホテルメトロポリタン川崎) |
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2020年 | 「My Journal」 (ANA インターコンチネンタルホテル東京) |
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2019年 | 「絵画たらしめる」 (アキバタマビ 21 3331 Arts Chiyoda) |
<壁画制作> | ||
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2021年 | 「三菱地所 Shin Tokyo 4TH MURAL PROJECT」 (新東京ビル) |
<受賞> | |
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2022年 | 第19回 アートギャラリーホーム作品募集 グランプリ受賞 |
2015年 | トーキョーワンダーウォール公募 2015石原慎太郎審査員賞受賞 |
TURNER AWARD 2014 優秀賞受賞 |
<入選> | |
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2016年 | シェル美術賞 2016入選 |
2014年 | 損保ジャパン美術賞 FACE 2014 入選 |
Artist Name :
Laure JULIEN
Title :
Tsukumogami
作品コンセプト
付喪神とは、道具に宿る神のこと。持ち主にもう一度気づいてもらおうと、動きだし騒ぎ始める、古く、壊れた 物の妖怪。本コレクションはそんな付喪神の物語から着想を得ています。 東京、神奈川のあちこちのリサイクルショップやフリーマーケットから集められた物や織物を、衣服やアクセサ リーへと作り合わせることで、物たちに魂と用途を蘇らせる。 そして救われた物たちを生まれ変わらせるのは、同じく、忘れ去られたり軽んじられてきた伝統の技。日用品、アクセサリーや織物にわたって利用される、かご細工法に重点を置いています。また、物たちを衣服として一体化させ、さらに視覚的統一感を出すために応用したのは、仕立てや高級クチュール、そして釣り用品に用いられるかご細工、結びやウェットスーツ作りの技術など。織物を使ったかご細工編みや、まるでダイビング装備のように身体に沿うラインが、作品に見られます。ろくろ首、百々目鬼、二口女、シーサー、化け草履、のっぺらぼうなどの目や舌、曲線などの形にみられるような妖怪全体に健在する美的感覚をもとに、彼らに内在する可変性やセクシュアリティの要素を混ぜ合わせています。さらにスポーツウェアの要素を組み入れて、作品は機能的で可変的です。ディテールが変形を可能にし、流動的でダイナミックなシルエットは、妖怪たちが集まり騒がしい湘南の海に溶け込んでいくようです。
作家プロフィール
ローレ・ジュリアン
Laure JULIEN
フランス、リヨンのエンジニア一家に生まれる。パリの国立高等装飾美術学校 (École Nationale Supérieure des Arts Décoratifs)在学。 幼少期から日本文化に魅了され、文化学園大学での留学生活を経て昨年より熱海 に在住。 ファッションデザインを身につけるアートと捉え、自身の身の回りの自然環境と リンクしたアクセサリー、衣服、アートピースの交わりを表現する。 地元素材や再利用素材、地域文化、民話から得るインスピレーションをもとに、 ヨーロッパの区画化された体制とは異なる、陶芸や金工、竹かご細工など日本の 工芸職人の技、そして芸術的デザインの調和をコンセプトに創作を行う。
審査員講評
戸塚愛美
遠くを走る水平線に、震える波の面影。本来は複雑な構造を帯びる自然の様子を寓意的なかたちで表現した、渡部未乃さんの《波を見る#3》。本作を、地域固有の魅力と芸術的観点の両義的な側面を総合的に鑑み、秀逸な作品としてグランプリとしました。準グランプリに、Laure JULIENさんの《Tsukumogami》。地域との対話の起点に独自の視座を取り入れ、丁寧なリサーチをもとに制作された作品です。環境に配慮した素材の活用や見過ごされがちな技術に価値をあたえる工夫は、とても興味深いものでした。今回は”Shonan Nature”のテーマのもと、ショッピングモールという場にかなう力をもちながら、湘南・辻堂への親しみを感じることのできる2作品を選出しました。はじめての試みである「テラスアートアワード」では、たくさんの意欲的な作品に出会うこができ、応募いただいた作品は、「つくるよろこび」を感じるものが多かったように思います。アートを通じて地域といかなる対話が可能か、再考させられる機会ともなりました。ご応募いただいた方々の想像と創造の往還がさらに豊かなかたちとなり、またどこかでお会いできることを楽しみにしています。ご応募いただき、誠にありがとうございました。展示もお楽しみに!
プロフィール
インディペンデント・キュレーター。公共空間における展示のあり方に関心を寄せ、地域に根差した展覧会やアートプロジェクトの企画・運営に携わる。主な展覧会に「喩でもなく訴でもなく」(2020〜、東京都)、さいたま国際芸術祭2020公募キュレーター企画展示「I can speak」展など。2021年より、テラスモール湘南での地域のリサーチによる現代アート作品展示「Terrace Art」のキュレーターを務める。
宮本武典
ショッピングモールは基本的に消費のためのパサージュです。BGMや館内アナウンスが絶えず流れ、人々を眩惑し誘引する凝ったディスプレイが連続する空間で、アートの展示・鑑賞を成立させるのは容易ではありません。受賞作はこの秋にテラスモールに展示され、地域からの真の評価にさらされるので、審査では”Shonan Nature”の解釈に加え、高度なマーケティングで構築されたショッピングモール空間に拮抗する強度があるかをチェックしました。他方、テラスモールにやってくる地域住民の視点から言えば、複合商業施設は地方/郊外の暮らしになくてはならない空間であり、食やファッションのトレンドと出会う場所です。活気あるショッピングモールにアートの入口をつくり得るとすれば… おのずと今回受賞した2作品に絞り込まれました。渡部さんの「波を見る#3」は、環太平洋へひらかれた”サーフィンの聖地”、おおらかな湘南イメージを分かりやすく想起させながら、現代絵画としての構造と完成度を有し、審査メンバーに強い印象を残しました。今回のグランプリ受賞が画家と土地との発展的なコラボレーションつながれば、「波を見る」シリーズは湘南地域のシビック・プライドにつながる存在になっていくかもしれません。そんなサスティナブルな画家と街との協働の可能性にも期待も込め、グランプリに推しました。Laure JULIENさんの「Tsukumogami」は、付喪神をモチーフに、瑞々しい好奇心で彼女がリサーチした日本の民間信仰と編みカゴの手仕事が、アップサイクルやアニメなど現代的テーマに編み直されています。ショッピングモールに擬態可能なファッションというアプローチもさることながら、リサーチ・プロジェクトとしても見るべき点が多い作品です。歴史的にも中国やアメリカの基地文化とつながりの深い湘南ですから、若い海外のクリエイターを受け入れ、彼らが示してくれる地域文化×アートの可能性に注目し応援することは、次代のローカルカルチャー生成にとって重要だと思います。
プロフィール
キュレーター。海外子女教育振興財団の派遣プログラムでバンコク赴任、武蔵野美術大学パリ賞受賞により渡仏、原美術館学芸部を経て2005年に東北芸術工科大学へ。2019年3月まで同大学教授・主任学芸員を務め、東北各地でアートプロジェクトや東日本大震災の復興支援事業を展開。2014年に『山形ビエンナーレ』を創設しプログラムディレクションを3期にわたって手がける(~2018年)。2019年に角川武蔵野ミュージアム(隈研吾氏設計)開館事業にクリエイティブディレクターとして参加したのち、2020年から国際芸術祭「東京ビエンナーレ」にプロジェクトディレクターとして首都圏でキュレーションを展開中。2022年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻准教授に着任。
山本菜々子
審査にあたり、「湘南らしさがあるか」というところに加え、「年齢層も背景も多様な方々が楽しめる作品であるか」「楽しい気持ちで観てもらえるか」という視点をいつもより気をつけて持つようにしました。グランプリの渡部未乃さんについては、湘南の風を感じる爽やかな作風もさることながら、お子さんから大人まで、アートがお好きな方もあまりご興味がない方も、どんな方が見ても気持ちの良い作品であるのではないかという点で、グランプリにふさわしい作品だと思いました。準グランプリのLaure JULIENさんは、真摯なリサーチと、地域へのリスペクトを感じる作品づくりの姿勢が際立っていました。何かに徹底的に向き合った上で作られていながら、作品と対峙したときにはその背景や説明も必要とされないような、圧倒的な力と美しさを備えた作品を近い将来Laureさんが作ってくれるのではないかと、楽しみにしています。受賞されなかった作品も、湘南の土地柄からか明るい作品が多く、大変楽しく拝見しました。青春時代に多くの時間を過ごした湘南から、新たなアートの波が生まれる予感がする、とても爽やかで楽しい作品にたくさん出会えて嬉しかったです。ご覧になる皆様にも楽しんでいただけますように!
プロフィール
Art Salon SCÈNE Owner/Director。2016年より、南青山のアートサロンSCÈNEにて展覧会を開催する他、国内外で百貨店、飲食店、ホテル、オフィスなどのアートキュレーション、企業やコレクターのアートコンサルティング等を行う。