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2024.09.18
「湘南と。」Vol.9 東京への眼差しを持ちながら、湘南で髪を切る。 美容師である長田綾子さんの、自分らしいキャリアの描き方

連載:湘南と。

湘南を拠点に選んだ『暮らしのスタイル』を持っている人の言葉を通して、この街の魅力を発見して日々を豊かにする小さなヒントに出合える連載。

湘南で暮らす誰かの日々が、さらに愛おしいものになりますように。

聞き手:andsaturday inc. 庄司真帆

 

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湘南で髪を切るという人生を選んだ


ある一人の女性に会うために、湘南だけではなく遠方からも多くの人が訪れる美容室が鎌倉にあります。

『AND THE BRICKS』のオーナーである長田綾子さんは、数々の雑誌やメディアでも取り上げられるなど、全国的に注目を集めている存在です。


長田さんは美容学校を卒業後、東京のサロンで美容師としてのキャリアを歩み始めました。

華やかでアーティスティックな世界はとても刺激的で魅力も感じていましたが、同時に少しずつ違和感も抱くようになったと言います。

「短い時間の中で流れるようにスタイリングをこなす日々の中で、目の前のお客さまにちゃんと向き合えていないような気がしていて。もっと一人ひとりとの時間を大切にする美容師に、本当はなりたいんじゃないかなって思うようになりました」。


そんな長田さんは、結婚を機に10年ほど働いた東京を離れることを決断します。

神奈川県の金沢文庫にある旦那さんのサロンを手伝った後に、2014年3月に鎌倉大町に『AND THE BRICKS』をオープンしました。

 

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自分のお店を出す場所として、どうして鎌倉の街を選んだのでしょうか。

「元々は海好きの主人に付き合ってサーフィンに通う中で好きになった街で、結婚のタイミングから鎌倉で暮らしています。自然が身近な豊かな暮らしをしながら東京ともつながっていられる、この街でお店を始めたいと思いました」。


そして『AND THE BRICKS』は、一人ひとりのお客さまと丁寧に向き合う時間を重ね続け、今では街に無くてはならない存在になりました。

「この街ではお客さまと美容師の距離が近くて、ゆっくり向き合える時間をつくれることが嬉しいんです」。

お店を開いてから早10年、東京にいた時よりも自然体な美容師として、日々目の前のお客さまと向き合い続けています。

 

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湘南で暮らしながら、東京への眼差しを持ち続ける


美容師としての長田さんのスタイルとは、どんなものでしょうか。


「お客さまの希望されるスタイルに寄り添いつつ、それだけではない自分ならではのアクセントを加えたいといつも思っています。想像を超えて、喜んでもらえるスタイリングを大切にしていますね」。

わざわざ選んでお店に来てくれたお客さまに、髪を切ることを通して驚きと喜びを与えたい。


そして長田さんの美容師としての眼差しからは、かつて離れた東京への意識も強く感じることができます。

「湘南らしいスタイリング、みたいなのは私の目指すところではなくて。この街にいながら、東京の美容師たちにも負けないように、スタイリングでも勝負し続けたいんです」。


東京を離れて湘南に移住するという美容師は、今でこそ増えたと言いますが当時は珍しいケースだったと言います。

「美容師になったばかりの頃に描いていた、華やかな東京で忙しく髪を切るキャリアを離れることへの不安はありました。でも今は、この街だからこそ自分らしい美容室をつくることができたと思いますし、それだけではなくてもちろん今でも東京で活躍している美容師に負けたくない気持ちも持ち続けています」。

 

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だからこそ、東京ともつながっていられる湘南で、観光も兼ねて髪を切りに訪ねやすい鎌倉で、日々美容師としての技術を磨き続けています。

この街に流れる、古いものを守り新しいものを取り入れる価値観も、長田さんのスタイルに合っているそうです。


「そしてもちろん、せっかく会いに来てくれたのだから会話をゆっくりしながら、髪を切る時間をもっと楽しく感じてもらえたら嬉しいなと思ってます。それが今の私の、美容師としてのスタイルですかね」。


湘南の街に根差した美容師として髪を切る時間を豊かにすること。そして、東京に負けないスタイリングを追及していくこと。

その両方に妥協せずに美容師として高みを目指すことが、負けず嫌いとご自身を表現する長田さんの、今の生き方です。

 

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家族で、この街に根差していく


長田さんには現在、3人のお子さんがいます。

そんなお子さんたちは、時としてお店で過ごしながら、美容師としての母親の姿を見ながら育っています。


「とにかくお客さまが優しくて、子どもをおんぶしながら髪を切らせてもらったり、成長を一緒に喜んでくださったりしていて。このお店で会える街の人たちに、家族の成長を見守ってもらっている感じがします」。

そんな柔らかくて優しい関係性も、この街ならではなのかもしれません。


そしてこの街で家族が自分たちらしくいられる場所の一つも、やはりこのお店なのだと言います。

「お客さまやスタッフが子どもと遊んでくれることもありますし、何より私にとってお客さまと話すことで気持ちがスッキリして、もっと家族にも優しくいられる、なんて感じすらするんです」。

 

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それだけではなくて、広い意味での家族として、お店のスタッフや街の美容師たちへも、長田さんは思いを寄せています。

「美容師のセミナーで講師をしているのは、やっぱり後輩たちを育てたいという想いがあるからです。この街で、自分も一緒に、美容師として常に成長していきたいんです」。


そんな、美容師が憧れる美容師でもある長田さんの下には、長田さんのように穏やかで優しい美容師が集まってきます。そしてみんなが、ローカルの枠に収まるのではなくて、美容師としての技術をさらに磨きながら、目の前のお客さまを喜ばせるために日々奮闘しているのです。


湘南を選び、この街で髪を切る先駆者である長田さんを中心に、この街の髪を切る文化はこれからもきっと育まれていきます。

その先に、湘南で髪のスタイリングを楽しむ人がこれからもっと増えていく未来が来ることを、誰よりも長田さんが一番願っています。

 

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プロフィール

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埼玉県出身。日本美容専門学校卒業後、都内でのサロン勤務を経て2014年鎌倉市にAND THE BRICKSをオープン。カジュアルかつ洗練されたデザイン提案に支持が集まる。美容師のファンも多い美容師。

Instagram:@osadaayakonoguchi

 

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